11月の御嶽
(2005年11月16日)

御岳ロープウェイ→女人堂→石室山荘→黒沢口分岐→下山


【凍結した剣ヶ峰への道】

今度は11月の木曽御嶽に登りました。

山小屋はすべて閉まっている時期なので、ふもとの「ホテル木曽温泉」で宿を取り、日帰りで剣が峰をめざします。

当初は田の原から登る予定でいたのですが、王滝村の情報を調べてみたら、今年は11/14から通行止めだそうです。

通行止めの後は唯一の交通手段である
田の原ロープウェイは12月から運行するとのこと。

寒波も迫っているのに、12月まで待っていたらどうなるか知れたものではないので、通年営業している黒沢口のロープウェイを頼ることにしました。

このロープウェイ、運行時間がAM9:00〜PM4;00ということで、かなり忙しい。

7時間(実際には6時間がいいとこ)で山頂まで往復しなければなりません。

まあ、ロープウェイを使わなくても登る道はあるんだけど…

ロープウェイがあるのに使わないというのも、なかなか強い意志がないとできないもので。

ふもとの八海山小屋あたりの風景は、普通の秋の景色です。

が、紅葉の向こうには白く輝く御嶽山の姿が。

ちなみに、御岳ロープウェイまでの道中、何箇所か道路工事をしていましたが、交互通行で通ることが出来ました。

夏はにぎやかだった女人堂も閉ざされ、あたりは閑散としています。

というか、この日の山は本当に誰一人いませんでした。

下山時に女人堂で2人連れのハイカーと出会ったのですが、ここから上については、雪の足跡などから見ても、足を踏み入れたのは私だけのようです。
銅像前の鐘です。

あたりは風の音だけでとても静かだったので、自分で鳴らした鐘の音に驚いてしまいました。

時々、風の音が人の声のように聞こえたりすると、やはり少し驚きました。
鐘から上の道は、岩・雪・氷のミックス。

この日は快晴で見通しも非常に良く、田の原や王滝山頂・頂上付近の旭館まで見えました。

行く手にはお馴染み山小屋2つが見えますが、登ってみると完全に閉鎖されていました。
覚明堂むかいの鳥居です。

このあたりはすでにかなり急勾配で、クラストした雪にキックステップが効きづらい場面も出てきました。

ただ、まだこの時期積雪は浅く、雪崩や雪庇のおそれはなさそうです。
斜面を登りつめて、やっと稜線に到達。

吹き付ける風の厳しさが違ってきます。

二の池は真っ白の雪の原になっていました。
剣が峰まであとわずか。

空気が澄んでいるので、山頂標識もすぐ間近に見えます。

が、実はここからわずか200mまで山頂に迫ったところで、つぼ足での前進は不可能になりました。

しかも雪は薄く凍っていて、すぐ下の石が踏むと顔を出すようなアイゼン泣かせの状態。

撤退最終刻限はPM1:00を予定していたのですが、時計はすでにPM1:18。

ベルト式のアルミアイゼンなので取り付けに手間がかかりそうで、強度も疑問です。

ここまで来て大変つらいことですが、総合的に判断した結果、撤退することに決めました。

もっと急いで登っていれば…

もっとアイゼンに金を使っておけば…思いは尽きません。

そういったわけで、山頂は諦めて、二の池をバックに記念撮影…なんだけど、一人なので撮影するのに一苦労。

水平はズレてるし、二の池は入ってないし…

空気が薄いので、セルフタイマーを押した後、ダッシュでポーズをとるのもなかなか息が切れました。

幸いにも天気が良く、周囲は神々しいばかりの美しさでした。

今回、頂上に行けなかったのは、また来いよという意味なのかもしれません。

引き返す時は、何度も剣が峰を振り返りました。

いつまでも降りずにこの場に居たくなるような、そんな世界でした。

雪が少ないのを見越してこの時期を狙ったのですが、気温が高く雪が溶けてまた凍るようです。

雪山の下りはけっこう飛ばせるものですが、この日は慎重に降りなければなりませんでした。

結局、PM1:18に降り始めて、ロープウェイに着いたのはPM3:30頃。

けっこうギリギリな感じでした。

別にロープウェイが間に合わなければ、6合目の中の湯に下りるという方法もあります。

が、それならロープウェイの職員にあらかじめそう告げておいたほうがよさそうです。

職員の方は、登山者の往来をよく確認しているようでした。